ネット大学という幻想

ビル・ゲイツ曰く「5年以内に最上の教育はウェブからもたらされるようになる」

結論:あり得ない。

実技が壊滅だというのはおいておく。(何でゲイツがそこに気付かないのか謎過ぎだが)

ゲイツに限らず、この手の意見の誤りは、学習を「情報の記憶」としてしか見ていないことにある。本当の教育の目的は、思考プロセスを学ぶことであって、情報はそれを学ぶための道具に過ぎない。

そして思考プロセスを学ぶためには、「対話」が非常に重要となる。自分の考えを説明すること、他人の考えを理解すること、それなくして思考プロセスは学べない。

しかるに電話会議、TV会議などを利用して分かるのは、それらを使って対話をするのが非常に困難だということだ。

対話とは交互に情報をやり取りするだけではない。こちらから話している時にも、話し相手の表情を読み、理解しているかどうか判断する。それによって時には身振り手振りを即興で加えて話をする。プレゼンテーションとは違うのである。現在の電話会議システムで、複数の人の表情を読みながら、身振り手振りや、さっと黒板に書いた図を用いて説明したりできるだろうか?

NHKなどで放送している有名大学の講義風景などを見ると、これをネット上で実現するのは不可能だと気付くはずだ。え?放送してるじゃないかって?放送で得られるのはほんの一部に過ぎませんよ。

だいたい本物の授業のやり取りなくしてどうしてネット送信できるんですか?
現在の技術でできるのは、せいぜいごく少人数のTV授業や、放送大学のようなものでしょうね。確かにネットで得られるものは増えていくでしょうが、決して「最上のもの」になることはないでしょう。